揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「まぁ、状況は大体そんなトコだけどさ。ただ、真吾に訊いてもアイツと何を話したのか教えてくんねぇんだよ。しかも、その篠原って女はアイツの彼女だとか言ってやがったし」


何が何だか分からないと言った表情で、諒斗は頭をボリボリと掻いている。


心配…してくれてるのかな?

私と大翔君の事。


「私も大翔君が真吾に会いに来たなんて知らなかったし、昨日は連絡取ってないからどうしてだかは分からないんだけど。その篠原さんっていうのは、ちょっと訳があって大翔君の彼女だって思ってるの」


「何だよ?その訳って」


まぁ、そう訊かれるのは当然といえば当然の事で。

とりあえず、修学旅行での一件をざっと説明してみた。


すると案の定、ますます諒斗の顔つきが不機嫌になっていった。


「お前はそんでいいわけ?」


一通り説明を聞いた後のアイツの言葉がこれだった。

責められるような口調に、一瞬たじろいでしまう。


「そりゃいいわけないよ。だから、今日会う時にちゃんと言おうと思うんだ。『恋人のフリをするのはやめて』って」


「言ったら、アイツはやめてくれるのかよ?」


「それは分かんないけど……。でも、気持ちはちゃんと伝えておこうと思って」


言ったからといって、この状況が変わるかは分からないけれど。

でも、ホントの気持ちだけでも大翔君に知ってて欲しいから。


きっと私は、年上だからって理解のあるフリをしようとしていたのかもしれない。

ホントは全然そんな余裕なんてないくせに。
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