揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「んっ……」


舌と舌とを絡ませながら、彼女の口から吐息が漏れる。


心に宿る疚しさから。

彼女の欲求を満たそうと、俺は懸命に甘いキスを与え続けた。


確かに、すぐに由佳との事を問いただされるかと思ったのに。

まどかさんは、その話には全然触れてこなかった。


うまく誤魔化せたのかも、と思ってしまった自分が。

とても浅はかに思えてくる。


「……こうやって、彼女にもキスしたの?」


唇が離れると。

俺の首に腕を回しながら、そう尋ねてきた。


「言ったろ?たまたま会ったんだって。梨香とは別れたし、俺が好きなのはまどかさんだけだよ」


嘘ばかり並べ立て、気持ちのこもっていないキスを彼女に落とす。

だけど、やっぱり簡単には納得してくれない。


「梨香ちゃんと別れるぐらい、彼女の事が好きなの?」


「梨香と別れたのは、アイツの相手に疲れたからだよ。やっぱり、俺はまどかさんがいい」


いい加減調子がいいと思いつつ、この嘘を通さないわけにいかなくて。


もし、まどかさんより由佳を愛してるって知ったら……。

正直、彼女は何をしだすか分からない。


「ご飯の前に、お風呂にしちゃう?」


そう俺に尋ねてくる顔は、母親なんかじゃない。

れっきとした、1人の女。


小学生の血の繋がらない息子を相手に、彼女は…女になるんだ。
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