揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「あんたが大翔の事を男として見てるのは知ってる。2人がそんな関係なんだって事も。だけどね、大翔が求めてるのは…あんたじゃなくて由佳さんなのっ!」


水沢…知ってたの?

2人がそういう関係だって知ってて、大翔君とつき合ってたの……?


正直、びっくりした。

もしつき合ってる時から知ってたのなら、彼女は私なんかより全然大人だ。


大翔君の事情を全て分かった上で、彼と一緒にいたんだから。


「梨香、知ってたのか……?」


驚いたのは私だけじゃなくて。

大翔君も戸惑いを隠せない様子で、声を少し震わせながらそう尋ねた。


「うすうすとね。だって、ずっと大翔の事見てきたんだから。おじさんが亡くなってからの2人の関係が何だか怪しかったし、第一女の扱いに慣れ過ぎだって」


笑いながら、冗談っぽく言ってはいるけれど。

きっと、水沢も辛かったんだと思う。


水沢の為にも、私がここで大翔君を救わなくちゃいけないんじゃないの?


もちろん、引き止める方法なんて知らない。

だけど、大翔君が好きだっていう想いはまどかさんにだって負けてないはずだから。


「連れて…行かないで下さい」


勇気を振り絞り、私はまどかさんにそう告げた。


こっちを睨みつけてくる彼女に一瞬気後れしたものの。

こんなトコロで怯んでる場合なんかじゃない、と自分を奮い立たせる。


「大翔君を、ニューヨークへは連れて行かないで下さい」


水沢は、大翔君が私を求めてくれてるって言ったけど。

私も…大翔君を求めてるの。


大翔君がいてくれないと、私も困るの!
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