揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「勝手に…決めつけんなよ」


まどかさんからの反論に身構えていただけに。

この大翔君の言葉に、私は耳を疑ってしまった。


「人の家の事情に、これ以上首突っ込まないでくれるかな?」


その言葉の冷たさと共に、彼の私を見る眼差しも…見た事が無いぐらいに冷たくて。

一瞬、何が起きたのか分からなかった。


「ちょっ、何言ってんのよ大翔っ!」


「お前も、篠原さん連れて早く帰ってくれよ」


咎める水沢の言葉を遮るように、今度は彼女に向けて言い放つ。

そんな彼の隣で、まどかさんはほくそ笑んでいる。


ざまぁみろと言わんばかりに、私と水沢を見て笑ってる。


「何で……?大翔君はいいの?このままで」


捨てられたら困るから、だからこんな事言うの?

ホントは、誰よりも自由になりたいって思ってるのに?


「いいも何も、俺が頼んだんだよ。向こうで野球をやりたいって。今日由佳を呼んだのは、この話をする為。別れてもらおうと思って呼んだの」


淡々と語る大翔君の表情には、感情というものが無いような気がして。

何故だか背筋がゾクッとした。


「野球やってればさ、メジャーの本場でやってみたいって誰だって思うよ。篠原さんが行くって言ってたから、ちょうどいい機会だって思ってたんだ。まぁ、篠原さんとは元から付き合うつもりもないけど」


感情の無い顔と、感情の無い声。

本心なのかどうかが、うまく測り取れない。
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