揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「何なのよ、それ……」


怒りを含んだ口調で、水沢がぼそっと呟く。


彼女なら分かるんだろうか?

隠している、大翔君の本心を……。


「とりあえず、近いうちにニューヨークに行くから。篠原さんとは、もう関係は終わりだし。由佳とも、たった今終わりにするから」


その言葉で、私達は終わってしまったんだろうか?


いろんな事があって。

でも、いろいろ遠回りしながらも乗り越えて来たのに。


こんなにあっさり、私達の最後が来てしまったの?


「何言ってるか分かってるのっ?」


今にも大翔君に詰め寄りそうな水沢の言葉を遮るように。


ピンポーン


と、インターホンの音が鳴り響いた。

つられてモニターに視線を送ると、そこにはよく知ってる顔が映っている。


「ちょうど良かったよ」


そう言うと、大翔君はモニター横の受話器を取りに行き。

何やら小声で話すと、ロビーの自動ドアのロックを外す為にボタンを押していた。


「何で……?」


大翔君の家なんて知る筈が無いのに。

しかも、彼はまるで来る事が分かっていたかのような素振りだし。


「何で、真吾がここに来るの?」


私の問いに、彼は当たり前であるかのように言葉を返す。


「俺が呼んだんだよ。由佳を迎えに来てもらう為に」
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