揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「兄貴はあそこのモールにあるショップで働いてるからさ、たまに服を買いに行くんだよ。あの時もスタバ行ってから行くつもりだったんだけど、たまたま通路で兄貴を見つけてさ。それで声を掛けようと思ったら…話してた相手がまどかじゃん。マジで目を疑ったよ」


それは、いつの話だったんだろうか?

まさか……。


「あの日は、ちょうど由佳ちゃんもバイトでスタバにいたんだよな?」


先輩は、そのタイミングで初めて私を振り返った。


嫌な予感が当たってしまい、大翔君の方に視線を向けることができなくて。

とりあえず、じっと先輩の顔だけを見て頷いた。


前に諒斗にその話をしてるから。

真吾はきっと知ってたんだろうけど。


大翔君は、きっと私と先輩のつながりを分かってないだろうし。

先輩とのことを疑われてそうで、すごく心苦しい。


「どっかで見たと思ったけど、そういうコト?」


そう言葉を発したのは、顔を見なくても大翔君だっていうのはちゃんと分かって。

それはどうやら、先輩に向けての言葉だったらしい。


「ん?昨日…緑ヶ丘に来てただろ?」


何を当たり前のことを?と言わんばかりに、先輩は彼に向かって答え。

一瞬の沈黙が、私に気まずさを押し付けてくる。


「図書館で、由佳のことナンパしてた奴だろ?」


淡々とした口調ではあるけれど。

明らかにムッとしているであろうことは、私には十分伝わってくる。
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