揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「男は幾つだって、好きな女を守りたいって思ってるんだよ。いい彼氏じゃないか」


そう言った真吾は急に歩みを止め。

黙ったまま、その場で立ち止った。


「真吾?」


数歩1人で歩き続けていた私は、隣を歩く長身の彼の気配が無くなった事に気付き。

慌てて足を止めて振り返った。


「ごめん、最初で最後だから」


少し辛そうな眼差しでそう言ったかと思うと。

彼は私の方に近付いて来て、いきなり…その長い両腕で私を包み込んでしまった。


「えっ?」


一瞬、何が起きたのか分からなくて。

抱きしめられてるんだって気付くのに、かなり時間がかかった。


ただ、その腕の力は決して強くは無くて。

きっと簡単に振り払う事はできたんだと思う。


だけど、私はそのまま真吾の胸に体を預けていた。


大翔君とは違う、男子っていう感じの真吾の匂い。

ドクドクドクッと激しく打つ、彼の鼓動。


大翔君とは違う意味での安心感に私は包まれていた。

それはきっと、真吾という人を私が信頼しているから。


『最初で最後』と言った彼の言葉は、たぶん本当で。

つき合ってた時になかったように、きっとこの先二度と彼は私に触れることはしないだろう。
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