揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「どこの世界に、手をケガした小学生にそんなコトするなって注意する医者がいるのよっっ」


「そんな事言ったって、由佳だって嬉しそうにここまで来たじゃん」


「だっ、誰が嬉しそうよっっっ!?」


確かに、ちょっと久しぶりでドキドキしてたりもするけどっ。

でも、そんな嬉しそうに歩いてなんかないからっっ。


久しぶりのちゃんとしたデートだっていうのに。

相変わらず、大翔君は意地悪だ。


「じゃあ、何でこんなカッコでここにいるの?」


そう尋ねる彼の声は、若干響いて聞こえる。


だってここはラブホのお風呂で。

私と大翔君はもちろん裸で、泡だらけの湯船に2人で浸かっているところだから。


「何でって……」


「何で?嬉しくないのに、こんなコトしてるの?」


「うっ、嬉しくない事もないけど……」


誘導尋問の様に、彼の話術によって恥ずかしい本音が引き出されていく。


私は、大翔君の様にストレートに思いを言葉にできない。

だって女だし、それにもう高校生だし。


ここに来る時だって、ホントは彼が言い出してくれるのを待ってたんだ。
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