揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「早く卒業したいよ。中学生になって、高校生になって、大学生になって。いつになったら、俺らは年の事言われなくなるのかな?」


そう言って、彼は身体をゆっくりと私の方へと向けてきた。

笑顔を浮かべているものの、その表情は少し淋しそうに見えて。


「うちの親もね、実はお母さんの方が5つ上だったんだ」


「へぇ、そうなんだ」


「まぁ、つき合いだしたのは社会人になってかららしいんだけど。私もね、大人になれば…年の差なんて誰もうるさく言わないんじゃないかなって思ってたんだ」


20歳と25歳。

25歳と30歳。

30歳と35歳。


そんな頃になれば、別に珍しい年の差じゃないし。


高校生と小学生だから。

だからきっと、私達は好奇の目に晒されて嫌悪されるんだ。


そう…思ってた。


「でもね、違うと思うの。肝心なのは、お互いを想う気持ちなわけだし。私は大翔の事が好きで、大翔もそう想ってくれてるのなら…それでいいんじゃないかな?」


「由佳……」


心底驚いた表情を見せ、彼は私をじっと見ている。

そんな彼に、私はにっこりと笑みを返した。


「まどかさんと先輩を見て思ったの。出会いは13歳と21歳でも、そこにはちゃんとホントの愛があったんだなって。ずっと想い続けていられる程の人に出会えたんだよ?それを年の差のせいで別れたりなんかしたら、勿体ないじゃない」


まどかさん達は、年の差の壁のせいで6年も離れ離れになってしまって。

でも、それでも2人はお互いに想い続けていたんだ。


それに比べたら、交際を認められた私達はとっても幸せだから。

これで年の差なんて気にしてたら、ホントに勿体ないと思う。


だから、今の私は胸を張って大声で言えるよ。


≪私の彼氏は小学生です!≫


ってね。



【完】
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