揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
その後の練習でも、帰りでも。

どうしても、いつものように克也に接することができなかった。


由佳との事を責められている気がして。

自然と、距離を取ってしまっている自分がいた。


淋しいような、悔しいような。

そんな気持ちのまま、俺は家路についていた。










「新しいスパイク、どうだった?」


夕食を終えると、俺はいつも野球道具の手入れをする。

リビングのソファでスパイクを磨いていたら、洗い物を終わらせたまどかさんが隣に座ってきた。


「前のより軽いみたいで、走りやすかったよ」


布で丁寧に汚れを落としながら、俺は彼女の方を見ずにそう答えた。

まどかさんの視線を感じてはいるものの、敢えて気付かない振りを通す。


「それ終わったら…お風呂にする?」


「この後、グローブもワックスかけるから。まどかさん先入っていいよ」


「大翔と一緒に入りたいんだけど?」


その言葉と同時に、彼女の体が俺に寄り添ってきて。

俺の左肩に頭を乗せながら、両手で俺を抱きしめてきた。


「たまには、1人でゆっくり入ったら?」


「……そういうセリフって、浮気の兆候だって知ってた?」


左の耳元に、艶っぽくそう囁いたかと思ったら。

そのまま、耳朶の辺りをゆっくりと舌で舐め回してくる。


感じないわけじゃないけれど。

また彼女を抱かなくちゃいけないのかと思うと、どうしても気が重くなる。
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