揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「シャワーなら、後で浴びるからいいのに」


「だから…真顔でそういう事言わないでってばっ」


「まぁ、そんなに俺とのデートを楽しみにしてくれてたんだったら、許してあげるよ」


そう言って彼は、幼い子にするかのように私の頭を撫でてくる。


子供扱いされてる気がする半面、こうされるのは別に嫌じゃなくて。

私は、されるがままに彼の手の感触を味わっていた。


そんな私をじっと見ていた大翔君は、そっと耳元に囁いてきた。


「どうする?図書館行く前に…休憩する?」


「そっか、随分待たせちゃったもんね。どっかでお茶でもしよっか?」


「……そっちの≪休憩≫じゃないんだけど」


撫でる手が止まったかと思うと。

わざと大きく溜息を吐きながら、彼はそう言った。


な、なんでそんなに呆れてるのよ?

休憩に、あっちもそっちもあるっていうのっ?


「ホント、この姉弟って天然……」


ぼそっと呟くと、彼はまた図書館に向けて歩き出し。


繋がれたままの手のおかげで、私も自然とついて行く格好になり。

慌てて足を動かす。


『この姉弟』って、私と克也って事!?

一緒にしないで欲しいんだけどっっ!


っていうか……。


「ねぇ、休憩は?いいのっ?」


「……後でいいから。ほら、早くしないと席無くなるよ?」


自分から言い出したくせにっ。

何なのよ?一体っっ。


結局、私達は休憩しないまま図書館に向かった。
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