揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
そして、なんだかバタバタしているうちに時間はあっという間に過ぎていって。

私達の上がる時間の、5時になっていた。








「今日は、本当にありがとう」


制服から私服に着替え終えると、ロッカールームの外に店長さんの姿があった。

ここのロッカールームは、モールの奥の一般の人が入らない区域にある。


「いえっ。こちらこそあんまりお役に立てなくて、すみませんでした」


実際、分からない事がいろいろ多くて。

沙希や店長さんに何度か迷惑をかけてしまった。


「初日にあれだけやれれば十分よ。良かったら、ここでホントにバイトしない?」


思ってもみない言葉に、なんだか救われた気がした。

今日の私でも、少しはお店の役に立てたのかな?って思えてくる。


「これ、今日の分のバイト代。ホント、お疲れ様」


バイト見習いの扱いだから、時給はそんなにいいわけじゃない。

だけど、自分で働いて貰えたお金なんだって思ったら、金額なんてぶっちゃけどうでも良かった。


「ありがとうございますっ」


もらった封筒は、お札しか入ってないから軽いけれど。

私の心には、ずっしりとくる。


「そういえば、カッコイイお客さんがお待ちかねみたいよ」


思い出したように店長さんに言われ、すぐに先輩の事だとピンときた。
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