揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「カッコイイお客さん……?」


先輩の事を言い忘れてたから、沙希は何の事だか分からないといった様子で。


「昨日図書館で、高校の先輩だっていう人に会ったの。そしたら、さっきその人がお客さんで来てて……」


うまく説明できないけど。

とりあえず、沙希に先輩の事を話し始めた。


「それが、諒斗と高崎君のバスケ部の先輩なんだって。それで、学校の話いろいろしたいから、私が上がる頃にまた来るって」


「あら?吉野さんの彼氏じゃないんだ?着替え終わるのを待ってるって言ってたから、てっきり彼氏が迎えに来たのかと思ったんだけど」


店長さんは、本気で驚いているみたいで。


彼氏はちゃんと別にいますから!って言いたかったけど。

沙希の手前もあって、苦笑いしか返せなかった。


「仁藤君のお友達なんでしょ?さっき喋ってたけど」


店長さんの言う『仁藤君』とは、沙希の彼氏の大学生の仁藤純平(にとうじゅんぺい)君の事。

遅番の彼は、4時から店に入っている。


「純平の友達なの?」


沙希に訊かれたものの、私も初耳だった。


「友達かどうかは知らなかったけど、その先輩も2つ上みたい」


2つ上なら純平君と同い年だから、もしかしたらホントに知り合いなのかもしれない。


とりあえず私達は、3人でまた店に戻って行った。
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