揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
だって、私の事を狙ってるって決めつけるのはおかしいと思うし。


先輩は、ただ後輩と学校の話がしたかっただけで。

相手が私じゃなくたって、きっと同じ事をするはずだから。


「ケンカなんて珍しいじゃん」


不意に声をかけられ、その方向を見ると。

隣の席に諒斗が来たところだった。


いつも仲のいい私達の言い争いを見て、冷やかすようにそう口を挟んできたのだ。


「ケンカじゃないわよ、説教よ説教っ」


そう言うと、沙希は自分の席に座って私に背中を向けてしまい。

すぐそばにいる親友が、なんだかちょっと遠くに感じてしまった。


「機嫌悪りぃなぁ」


そんな沙希を見ながら、諒斗がぼそっと呟く。

そのまま椅子に腰かけると、何か思い出したように私に話しかけてきた。


「そういや由佳って、弘登先輩と知り合いだったのか?」


思いがけない名前を出され、私の心臓はまた激しく動き出した。


そして、その言葉に反応を示した人がもう一人……。


「今、何て言った……?」


ゆっくりと振り返る沙希の顔は、どうにも怒りで引きつっているように見えて。

私は、一瞬息が止まるかと思った。
< 64 / 337 >

この作品をシェア

pagetop