揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
放課後。


日直の沙希が日誌を職員室に置きに行っている間、私は靴箱で彼女が来るのを待っている。

たくさんの生徒が通り過ぎて行く中、私はぼんやりと考えていた。


もし大翔君が先輩の事を知ったら、やっぱり『会うな』って言うのかな?


昨日から連絡を取っていない、私の年下彼氏。

私と先輩の事、ヤキモチ妬いたりしてくれるのかな?なんて、つい考えてしまう。


時折見せる優しい笑顔が好きで。

それを…思い浮かべたいのに。


何故なんだろうね?


私の手を冷たく振り払った、あの時の大翔君しか浮かんで来ないんだよ。


「……由佳?」


聞き覚えのあるその声に、私は我に返り。

慌てて振り返ったその先には、久しく会っていなかった真吾の姿があった。


「あ、久しぶりっ」


真吾のクラスから体育館に行くなら、ここの前を通って行くのが近い。

今から部活に向かうところなのかな?


「誰か待ってるの?」


「うん。友達が職員室に行ってるから」


「そっか。……彼は、元気?」


真吾の言ってる『彼』が分からなくて、一瞬キョトンとしてしまったけれど。

すぐに、大翔君の事を言ってるんだって気付いた。
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