揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「うん、元気だよ。野球も頑張ってるし」


大翔君の話になったら、なんだか胸がチクンと痛くなってきて。

やっぱり、私に背中を向けて離れて行く彼の姿が浮かんでしまう。


「そっか。諒斗は…変な事してこない?」


心配そうな顔で、真吾が小声で尋ねる。


真吾は、前に私が諒斗に襲われた時に助けてくれたから。

もしかしたら、ずっと気にしてくれてたのかもしれない。


「ありがと。大丈夫だよ、ちゃんと友達やってるから」


「じゃあ、俺と一緒だ」


そう言って笑う真吾の顔が、とても優しくて。

なんだか、涙が出そうになってきた。


「由佳……?」


そんな彼の笑顔は、すぐに不安そうな表情へと変わってしまった。


変えさせたのは、きっと…私の涙。

堪え切れずに何粒か零れてしまった、しょっぱい雫。


真吾のあたたかい笑顔に触れて。

尚更、大翔君の笑顔を求めている自分がいたんだ。
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