揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「何かあったんじゃないの?」


私より20センチぐらい高い背を屈めて。

少し茶色がかった髪をかき上げて、真吾が心配そうに顔を覗きこんでくる。


心配掛けちゃいけないのに。

真吾じゃなくて大翔君を選んだ私は、真吾に泣いてるトコなんか見せちゃいけないのに。


最近、何だか泣き虫で嫌になる。


「ごめんね、全然大丈夫だから」


別に、振られたわけじゃない。

別れようって言われたわけでもない。


ただ、金曜まで連絡が取れないだけ。

それだけの事なんだから……。


「何かあったら話聞くって言わなかったっけ?俺って、頼りない?」


そう言って真吾は、長くて綺麗な親指で私の涙を拭っていく。

触れられてドキッとしながらも、私はゆっくりと首を横に振った。


「なら、何でも言ってよ?こんな風に、泣くの我慢してないでさ」


「……ありがと」


ちっとも変らない真吾の優しさに触れて。

この胸の中のモヤモヤを、彼に聞いてもらおうかと思い始めた時。


すぐ近くから、私達の方に向かって声が掛けられた。
< 70 / 337 >

この作品をシェア

pagetop