揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そっか。真吾と別れてまでつき合う彼氏って、どんな奴なんだろうな?」


そう言って、先輩の視線が私を真っ直ぐに捕えてきた。


『彼氏は小学生です』って、とてもこんな人通りのあるとこじゃ言えない私は。

とりあえず、先輩の痛いぐらい真っ直ぐな視線から目を逸らすしかなかった。


「今日は、どうしたんですか?」


話題を変えるように、真吾が先輩にそう尋ねている。

やっぱり、諒斗から何も聞いてないみたい。


「ん?久しぶりに、後輩をシゴキにさ。由佳ちゃんも来るよね?」


「あ、私……」


うまく断らなくちゃ、と思った時だった。


「由佳は用事があるんで、私と帰りますからっ」


そう言って、職員室から戻った沙希が姿を現した。


何か、すごい顔合わせになっちゃったな……。


私は心臓をドキドキさせながら、ただオロオロするばかりで。

つかつかと先輩の前に立ちふさがる沙希に、何も声をかけられなかった。


「……何でそんなに、俺の事邪険にするの?」


そう言って沙希を見下ろす先輩の顔からは、いつの間にか笑顔が消えていた。

冷たい言い方に、この場の空気が少し張り詰めた気がする。
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