揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「ごめん……」


ありきたりな返事しか、今の私にはできなかった。


沙希に話さなくちゃいけない事は、ホントにたくさんある。

だけど、今すぐにそれを順立てて話す事は無理で。


沙希の求める答えをすぐに返せない自分が、すごくもどかしかった。


「とりあえず、1発ひっぱたいといたから」


謝ったはいいけれど、後が続かないでいる私に。

沙希は明るく言うと、笑ってVサインを作って見せてきた。


「えっ……?」


いきなりな言葉に一瞬頭がついていかなくて。

キョトンとしていると、沙希はまた笑いかけてくれた。


「諒斗のアホよ。ムカついたから、ひっぱたいたの」


そして、今度は右手で自分の頬を軽くはたいている。


「沙希……」


私なんかの為に、手を痛めてくれたの?

親友に何も打ち明けれないでいた、私なんかの為に。


「片山さんと別れたか知らないけどさ、それで由佳を無理やり襲うっておかしいしっ。ホント、最悪っ。でも、あんたの彼氏にも殴られたらしいじゃん?」


小学生なのに、ちゃんと大事にしてくれてるんだね。


そう、沙希は続けた。

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