揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「ありがとね、沙希」


ずっと、不安だった。

沙希が私と大翔君の事を知ったら、どう思うだろう?って。


でも、沙希はやっぱり私の親友だから。

ちゃんと、大翔君を好きな私の事を認めてくれた。


ほっとしたのと嬉しかったので、私の涙腺はまた簡単に緩んでしまう。


「こんなんで泣いてちゃ、小学生の彼氏に笑われるよ」


そう言って、笑いながらハンカチを差し出してくれる。

ホントに、沙希と友達で良かった。


「ありがと」


ハンカチを借りて、零れた雫を拭い取る。

そうしながら、私は大翔君に笑われる自分を想像しようとした。


だけどやっぱり、私の手を振り払って離れて行く彼の姿しか思い出せなくて。


涙の量が、嫌でも増えていってしまう。
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