揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「とりあえず諒斗のアホには、二度と由佳に手を出すなって釘さしといたからいいと思うけど。問題は、あの曲者弘登よ」


沙希が『弘登』って言う度、私はついつい大翔君を思い出してドキッとしてしまう。


それにしても、曲者って……。


「どうせ、由佳にいいトコ見せようと思って来たんだろうけどさ。彼氏がいるんだから、ちょっかいかけるなって感じじゃん?」


相変わらず、沙希は相手が先輩だろうが容赦ない。


「そんなに…悪い人かな?先輩って」


別に、嫌な事を言われたわけでも、されたわけでもない。

告られたわけでもないし、口説くつもりもないって言ってたんだから。


そんなに、邪険にしなくてもいいと思うんだけど。


「……ふりだしにまた戻りたいの?」


呆れたように見据えてくる沙希の迫力に押され、私は無言で首を横に振った。


何か怖いよぉ……。


「とりあえず、今日は高崎君に感謝しなよ?助け舟出してくれたんだから」


「あ、うん……」


久しぶりに会った、元彼の真吾。


相変わらず優しくて。

ちょっと弱っていた私は、彼の温かさにかなり救われた気がした。
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