揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
中学の時から、私は沙希が口喧嘩で負けたところを見た事がなくて。

相手が誰だろうが、自分の思った事をちゃんと言える沙希をすごいと思う。


「別に、諒斗の事はいいって言ってるじゃないっ」


分が悪いと思ったのか、片山さんはいきなり立ち上がった。


そして、


「私、負けたつもりないからっ」


吐き捨てるかのように、私に向かってそう告げると。

くるっと背中を向けて、彼女は不機嫌そうに去って行った。


取り残された私達2人は、しばらくぽかんと彼女の後ろ姿を見送っていて。

視界から片山さんの姿が完全に消えると、ようやく沙希が口を開いた。


「あんな女、諒斗も別れて正解よ。っていうか、別れるの遅すぎっ」


「中1からつき合ってたんだもん。いきなり別れるって言われたら、やっぱり納得いかないんじゃないのかな?」


もし、私が片山さんの立場だったとしたら?


相手の子には会いに行かないだろうけど、確かに納得はできないかも。


たとえ、つき合った期間が短くたって。

大翔君にいきなり別れを告げられたら、私も絶対納得がいかないと思う。
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