揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
夢でいいから-side大翔-

chapter11

結局、土曜日に別れてから由佳とは会ってなくて。

電話はおろか、メールすらしていない。


そして、もちろん由佳からも連絡はこない。










「夜、電話してね」


そして今日は、木曜日。

いつの間にか、修学旅行の当日になってしまっていた。


玄関まで見送りに来てくれたまどかさんが。

靴を履き終えた俺の背中に抱きつきながら、耳元でそう囁いてきた。


「分かってるよ」


俺の左肩にある彼女の頭を優しく撫でながら、そう言葉を返す。


今夜一晩だけでも彼女と離れられるのが、今の俺にとって救いだった。

今夜なら、由佳に電話できるかもしれない。


「梨香ちゃんとヨリ戻さないでよ?」


冗談っぽく笑いながら、俺の頬に触れてくる。

そのまま、彼女の白くて細い指が俺の唇に滑り落ちてきて。

形を確かめるかのように、ゆっくりとなぞっていく。


その仕草が何だかヤラシくて、俺は気にしない振りをして顔を背けた。
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