揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「……分かった。気を付けてね」


諦めたのか、彼女はゆっくりと俺から体を離していった。

その顔は、どこか不満げな感じに見えなくもないけれど。


「じゃあ、行ってくるから」


彼女に背を向け、俺はそのままマンションの部屋を出る。

バタンと音を立ててドアが閉まり、その瞬間に俺は溜息を一つ零した。


でもこれで、今日の俺はまどかさんの手中から逃れられる。


ホントは持って行ってはいけない携帯を、ズボンのポケットから出してみた。


ずっと…由佳と連絡を取りたかった。


でも本音を言えば、メールをするだけじゃなくて。

電話をするだけじゃなくて。


実際に、会いたかった。


会って、由佳の顔を見て。

話をして。

抱きしめて、キスをして。


由佳と愛し合いたくて。


どんなにまどかさんの相手をしてたって。

俺は、十分欲求不満なんだよ。
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