揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「神崎君のお菓子、凄く美味しそうだねっ」


俺らの前に座っている近藤さんが、いつの間にかこっちを覗きこんでいた。


「良かったら、食べていいよ」


「ホントっ?いいの?ほら、千花(ちか)も貰いなよっ」


近藤さんは、そう言って隣に座る篠原さんに声をかけている。


「わ、私はいいからっ」


座ったままの篠原さんの姿は、ここからじゃ全く見えなくて。


「篠原さんもいいよ。2人で好きなの食べて」


「ありがとね、神崎君っ」


雅志から袋を受け取った近藤さんは、篠原さんと分けるべく座席に腰を下ろしたようで。

すぐに姿が見えなくなった。


「なぁ、大翔」


マドレーヌを手にしている雅志が、前をチラチラ見やりながら小声で俺の名前を呼んだ。


「何?」


「お前、篠原さんの事…どう思う?」


「どうって?」


「ほら、その…かわいいとか、好き……とか」


雅志の頬がほんのりと赤くなってるような気がして、俺はすぐにピンときた。


……そういう事か。
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