揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「じゃあ、ここでみんな並んで」


野球部の監督でもある鈴木先生は、俺達の方を向きながらゆっくりと後ずさって行く。

レンズを向けられたままの俺達は、とりあえず適当に2列になっていた。


気がついたら、後列に並んだ俺の右隣には篠原さんがいて。

左隣の雅志と代わってやろうと思った時だった。


「撮るから動くなよー!」


と、先生から声が掛ってしまった。


チラッと雅志を見やると、頬を膨らませて見上げてくるアイツと目が合って。

とりあえず、左手を顔の前に持っていって≪ゴメン≫と謝った。


でも考えたら、篠原さんに声をかけるいいチャンスなのかもしれない。

雅志の想いを告げる為に、旅行の間に彼女を呼び出さないといけないわけだし。


「篠原さん」


カメラの方を向いていた彼女に、囁くように声をかけた。

周りに聞こえないぐらいの声で。


「えっ?」


何事かと顔を向けた彼女の耳元に、俺はそっと唇を近付けて告げた。


「後で、話があるんだけど」
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