揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「やだっ、これって!」


「ホントだっ!うそっ!?」


何だか、女子が騒がしくて。

そしてその声が挙がると同時に、雅志が俺の方に早足で近付いて来た。


「おい大翔っ!何だよ、あれ!?」


「何がだよ?」


「お前、篠原さんに何してんだよっ!?」


今にも掴みかかりそうな勢いで、雅志が問いただしてくる。

だけど、雅志の言う『あれ』の意味がイマイチよく分からない。


「何の話だよ?」


俺の問いに答える事無く。

雅志は、俺の腕を掴んで先生の方へと向かって歩き出す。


班のメンバーがたかったままのその場所で、雅志の指差す小さい画面に俺は目を向けた。

その画面に映し出されているのは、五重塔の前でついさっき撮ってもらったばかりの写真。


「これって、その…き、キスじゃねぇの?」


微妙に声を震わせながら、雅志が尋ねてくる。

そこに写っている俺を見たら、確かにそう見えなくもない。


篠原さんの耳元でこっそり話をした瞬間で。

見ようによっては、俺が彼女の頬にキスしているようだった。
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