冬うらら 1.5
□
会議室は、案の定無人だった。
カイトは入るなりドアを閉ざし、カギまで閉めた。
うっかり、誰も入って来られないように、だ。
それから、やっとゆっくりと彼女を、視界に入れることに成功したのだ。
この環境が出来るまでは、まったく落ち着かなかった―― いや、いまでも全然落ちついてなんかいない。
一体、何があった。
見えない不安の霧がある。
それを感じたカイトは、つい眉を顰めてしまった。
きっと、その顔がいけなかったのだ。
「ご、ごめんなさい! 勝手に会社まで来ちゃって!」
怒られると思ったのだろうか。
彼女は心配そうな顔で、慌てて頭をさげたのだ。
んなこた、どうでも…
「…いい」
口から出たのは、最後の2文字だけだった。
本当は、気にするなとか言ってやりたいのだ。
別にカイトは怒っているワケではないのだから、それをうまく伝えてやりたいのに、このザマだ。
「ホントは、帰ってくるまで待とうかとも思ったんだけど…でも、どうしたらいいか分からなくて…だから、その…」
メイは、つっかえひっかえに言葉を出すが、全然要領を得ない。
早く用件を教えてくれないと、カイトの方が不安で圧死しそうだ。
一体何が、メイにこういう行動を取らせたのか。
やきもきしながら、とにかく言葉を待つ。
気をつけないと、うっかり「早く言え!」と怒鳴りそうだ。
それをぐっとこらえる。
彼女を余計に怖がらせるだけだし、きっと自分自身も自己嫌悪に陥ること間違いナシだ。
「あ、あのね…」
ばさばさ。
彼女は、持ってきたバッグの口を開けて中を探る。
そうして茶封筒を出した。
更に落ち着かない手で、封をしていない茶封筒の口を開けて、中身を取り出す。
白い紙。
ペラペラの。
会議室は、案の定無人だった。
カイトは入るなりドアを閉ざし、カギまで閉めた。
うっかり、誰も入って来られないように、だ。
それから、やっとゆっくりと彼女を、視界に入れることに成功したのだ。
この環境が出来るまでは、まったく落ち着かなかった―― いや、いまでも全然落ちついてなんかいない。
一体、何があった。
見えない不安の霧がある。
それを感じたカイトは、つい眉を顰めてしまった。
きっと、その顔がいけなかったのだ。
「ご、ごめんなさい! 勝手に会社まで来ちゃって!」
怒られると思ったのだろうか。
彼女は心配そうな顔で、慌てて頭をさげたのだ。
んなこた、どうでも…
「…いい」
口から出たのは、最後の2文字だけだった。
本当は、気にするなとか言ってやりたいのだ。
別にカイトは怒っているワケではないのだから、それをうまく伝えてやりたいのに、このザマだ。
「ホントは、帰ってくるまで待とうかとも思ったんだけど…でも、どうしたらいいか分からなくて…だから、その…」
メイは、つっかえひっかえに言葉を出すが、全然要領を得ない。
早く用件を教えてくれないと、カイトの方が不安で圧死しそうだ。
一体何が、メイにこういう行動を取らせたのか。
やきもきしながら、とにかく言葉を待つ。
気をつけないと、うっかり「早く言え!」と怒鳴りそうだ。
それをぐっとこらえる。
彼女を余計に怖がらせるだけだし、きっと自分自身も自己嫌悪に陥ること間違いナシだ。
「あ、あのね…」
ばさばさ。
彼女は、持ってきたバッグの口を開けて中を探る。
そうして茶封筒を出した。
更に落ち着かない手で、封をしていない茶封筒の口を開けて、中身を取り出す。
白い紙。
ペラペラの。