冬うらら 1.5
□
触れても、いいのだ。
手を伸ばしても。
もう。
ガマンしねぇ。
彼は、その気持ちを強く抱いていた。
メイと心を通わせることが出来てから、それだけは極力譲らない項目として、心の一番上に、大きな文字で書き記しているくらいだ。
彼女について気持ちが渦巻いた時に、もう我慢なんかしたくなかった。
あんなに、死ぬほど我慢し続けた反動だろうか。
どういう理由にしろ、カイトが自分の手を止めることは出来なかった。
その気持ちのまま―― ぎゅっと。
彼女に触れることが出来る。
柔らかさも温かさも、しっかりとカイトに伝わってくる。匂いも音も何もかも。
ほっとするような、それでいて、もっと熱くなるような気持ちが、カイトを取り巻いた。
ずっと抱きしめていたい。もう、このまま腕を解きたくない。
「あっ…あの……おか…えりなさい」
慌てたような声で、メイがもう一度そう言う。
もしかしたら、離して欲しいと思っているのではないかという予測がよぎって、カイトはそれを振り払い、拒否するために、腕にもっと力を込めた。
まだ、全然この感触に、満足していないのである。
水のような彼女を、全身にしみこませていないのだ。
ぎこちなく、固いままの水。
「おかえり…なさい」
けれども。
今度の言葉は、メイの身体から少しだけ硬直を取り除いた。
抱きしめられることが、イヤではないのだと。
さっきまでのは、ただ驚いただけなのだと教えてくれる気がして、嬉しさが押し寄せてくる。
腕の力を抜いたりはしなかったけれども。
「晩ご飯は、おで……んんっっっ」
勝手に動き出す唇を捕まえて、熱い気持ちを重ねる。
言葉なんかよりも。
もっと、伝えたい気持ちがいっぱいあった。
触れても、いいのだ。
手を伸ばしても。
もう。
ガマンしねぇ。
彼は、その気持ちを強く抱いていた。
メイと心を通わせることが出来てから、それだけは極力譲らない項目として、心の一番上に、大きな文字で書き記しているくらいだ。
彼女について気持ちが渦巻いた時に、もう我慢なんかしたくなかった。
あんなに、死ぬほど我慢し続けた反動だろうか。
どういう理由にしろ、カイトが自分の手を止めることは出来なかった。
その気持ちのまま―― ぎゅっと。
彼女に触れることが出来る。
柔らかさも温かさも、しっかりとカイトに伝わってくる。匂いも音も何もかも。
ほっとするような、それでいて、もっと熱くなるような気持ちが、カイトを取り巻いた。
ずっと抱きしめていたい。もう、このまま腕を解きたくない。
「あっ…あの……おか…えりなさい」
慌てたような声で、メイがもう一度そう言う。
もしかしたら、離して欲しいと思っているのではないかという予測がよぎって、カイトはそれを振り払い、拒否するために、腕にもっと力を込めた。
まだ、全然この感触に、満足していないのである。
水のような彼女を、全身にしみこませていないのだ。
ぎこちなく、固いままの水。
「おかえり…なさい」
けれども。
今度の言葉は、メイの身体から少しだけ硬直を取り除いた。
抱きしめられることが、イヤではないのだと。
さっきまでのは、ただ驚いただけなのだと教えてくれる気がして、嬉しさが押し寄せてくる。
腕の力を抜いたりはしなかったけれども。
「晩ご飯は、おで……んんっっっ」
勝手に動き出す唇を捕まえて、熱い気持ちを重ねる。
言葉なんかよりも。
もっと、伝えたい気持ちがいっぱいあった。