冬うらら 1.5
□
おでん―― 終了。
後かたづけ―― 終了。
といっても、後かたづけはカイトが監視していた。
怠けないように、ではない。
その逆だ。
メイが、調理場という閉鎖された空間で、必要以上の仕事をしないように見張っていたのである。
カイトが会社に行っている間は、どうしても止めることは出来ないが、自分がいる空間で、必要以上の仕事をさせたくなかった。
一緒にいる時間というのは、意外と短いものだ。
平日ともなれば、朝のちょっとした時間と、会社終了後の夜しかない。
しかも夜というものは、ほとんどが眠るためのものだ。
本来カイトは、フクロウ族である。
夜更かしなんか大の得意で、早起きの方が苦手だった。
だから、夜を長く取ろうと思えば、出来ないことではない。
しかし、メイは、彼よりも早く起きて朝食を作るのである。
しなくていいと言っても、きっと彼女は起き出してしまうのだ。
それを考えると、自分の気持ちだけで、夜更かしを強要することが出来なかった。
寝る部屋を別々にすれば、早く寝る、遅く寝る、の時間差の問題なんか生じないだろうが―― そんなこと、カイトが承諾出来るはずもない。
結局。
あのカイトが、早寝になってしまうのである。
だから、起きている時間など、カイトにしてみれば微々たるものだった。
その微々たる貴重な時間を、家事などというもので奪われたくなかったのだ。
しかし、どうしても最低限の後かたづけをしないと落ち着かないらしいので、しょうがなく我慢しているのである。
こうしている間に、意識の中ではイライラが蓄積されていくばかりだ。
メイがピンクのゴム手袋を外した途端、カイトは手を捕まえて、二階の方へと連行しようとしたのである。
冷てぇ。
カイトは眉を顰めた。
ゴム手袋をしていたようだが、よく考えれば、ゴム手袋は温度を通すのである。
だから、水が冷たいと手も冷たくなるのだ。
はっ。
カイトは、本当に自分が家事に携わらないために、すぐに忘れてしまう事があった。
この調理場には、給湯のシステムがないのである。
おでん―― 終了。
後かたづけ―― 終了。
といっても、後かたづけはカイトが監視していた。
怠けないように、ではない。
その逆だ。
メイが、調理場という閉鎖された空間で、必要以上の仕事をしないように見張っていたのである。
カイトが会社に行っている間は、どうしても止めることは出来ないが、自分がいる空間で、必要以上の仕事をさせたくなかった。
一緒にいる時間というのは、意外と短いものだ。
平日ともなれば、朝のちょっとした時間と、会社終了後の夜しかない。
しかも夜というものは、ほとんどが眠るためのものだ。
本来カイトは、フクロウ族である。
夜更かしなんか大の得意で、早起きの方が苦手だった。
だから、夜を長く取ろうと思えば、出来ないことではない。
しかし、メイは、彼よりも早く起きて朝食を作るのである。
しなくていいと言っても、きっと彼女は起き出してしまうのだ。
それを考えると、自分の気持ちだけで、夜更かしを強要することが出来なかった。
寝る部屋を別々にすれば、早く寝る、遅く寝る、の時間差の問題なんか生じないだろうが―― そんなこと、カイトが承諾出来るはずもない。
結局。
あのカイトが、早寝になってしまうのである。
だから、起きている時間など、カイトにしてみれば微々たるものだった。
その微々たる貴重な時間を、家事などというもので奪われたくなかったのだ。
しかし、どうしても最低限の後かたづけをしないと落ち着かないらしいので、しょうがなく我慢しているのである。
こうしている間に、意識の中ではイライラが蓄積されていくばかりだ。
メイがピンクのゴム手袋を外した途端、カイトは手を捕まえて、二階の方へと連行しようとしたのである。
冷てぇ。
カイトは眉を顰めた。
ゴム手袋をしていたようだが、よく考えれば、ゴム手袋は温度を通すのである。
だから、水が冷たいと手も冷たくなるのだ。
はっ。
カイトは、本当に自分が家事に携わらないために、すぐに忘れてしまう事があった。
この調理場には、給湯のシステムがないのである。