冬うらら 1.5

 全部脱いでしまったカイトは、喉元まで上がってくる心臓を飲み下し、ついにすりガラスの扉の前に立ったのだ。

 ぼんやりと、そのドアの向こうにメイがいるのが分かる。

 身体の部分が白いのは、洗っていた途中だったせいか。

 とにかく、そこに彼女がいるのだけは、カイトにだってはっきり分かった。

 ドアに手をかける。

 ガチャリ。

 勇気を持って、ドアを開ける。

 視界には、薄くもやがかかっていた。湯の張ってあるバスタブが、ゆらゆらとゆらめいている。

 視界に、メイはいなかった。

 そう。

 彼は、顔を横にそらしているのだ。

 そういうのではないのだから、マジマジと彼女の身体を見るワケにはいかなかったのである。

 そんなことをしようものなら、絶対に自爆だ。

 このガチガチの鎖つきの理性を、吹っ飛ばされかねなかった。

 だから。

 中に入るなり、カイトはバスタブに直行したのであった。
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