冬うらら 1.5
□2
山積みの書類。
カイトは、社長室に軟禁状態だった。
いままでその仕事をサボリにサボっていたツケが、ここで回ってきたのである。
シュウは、まったくもって容赦なかった。
しかし、強い反撃が出来ない。
ぶっ倒れて入院はするわ、退院してもデスクワークを嫌い、開発室ばかりに入り浸るわ、の生活だったのだから。
いざ幸せになった途端、副社長は当然の仕事とばかりに、うず高い書類を机に積んでいってくれたのだった。
くそっ。
まだ、開発室ならよかった。
そうであれば、仕事にトランス入ることが出来るのだ。
はっと気づけば、もう定時という時間にだってなる。
しかし、社長室で書類仕事では、集中できやしない。
メイが。
彼女が、頭にこびりついて離れないのである。
昨日、結婚したばかりなのだ。
本当に家に帰ったら、メイが扉の向こうにいるということさえ信じられない状態なのである。
それを確かめたくてしょうがないのに、時計はまだ昼の12時になろうとしているところだった。
今日という時間が、半分しか終わっていないのだ。
その上、就業時間というのは、午後の方が長いのである。
書類をめくっては、数分おきにイライラしながら時計を見てしまう。
そんな時。
机の上の電話が、プツッという接続の音を告げた。
『社長、いまよろしいでしょうか?』
秘書の声だ。
電話か来客かあったのだろうか。
「何だ」
ボールペンを持ったまま、書類にチェックを入れる手を休めずに、カイトは短く返答した。
『あの…つかぬことを伺ってよろしいでしょうか』
言葉に、ようやく彼は手を止めた。
秘書にしては、珍しく戸惑った声でそんなことを伝えてきたせいだ。
電話を見つめるが、いまの彼女の表情を教えてはくれなかった。
『その…失礼なことかもしれませんが、社長…社長は、ご結婚されていましたか?』
山積みの書類。
カイトは、社長室に軟禁状態だった。
いままでその仕事をサボリにサボっていたツケが、ここで回ってきたのである。
シュウは、まったくもって容赦なかった。
しかし、強い反撃が出来ない。
ぶっ倒れて入院はするわ、退院してもデスクワークを嫌い、開発室ばかりに入り浸るわ、の生活だったのだから。
いざ幸せになった途端、副社長は当然の仕事とばかりに、うず高い書類を机に積んでいってくれたのだった。
くそっ。
まだ、開発室ならよかった。
そうであれば、仕事にトランス入ることが出来るのだ。
はっと気づけば、もう定時という時間にだってなる。
しかし、社長室で書類仕事では、集中できやしない。
メイが。
彼女が、頭にこびりついて離れないのである。
昨日、結婚したばかりなのだ。
本当に家に帰ったら、メイが扉の向こうにいるということさえ信じられない状態なのである。
それを確かめたくてしょうがないのに、時計はまだ昼の12時になろうとしているところだった。
今日という時間が、半分しか終わっていないのだ。
その上、就業時間というのは、午後の方が長いのである。
書類をめくっては、数分おきにイライラしながら時計を見てしまう。
そんな時。
机の上の電話が、プツッという接続の音を告げた。
『社長、いまよろしいでしょうか?』
秘書の声だ。
電話か来客かあったのだろうか。
「何だ」
ボールペンを持ったまま、書類にチェックを入れる手を休めずに、カイトは短く返答した。
『あの…つかぬことを伺ってよろしいでしょうか』
言葉に、ようやく彼は手を止めた。
秘書にしては、珍しく戸惑った声でそんなことを伝えてきたせいだ。
電話を見つめるが、いまの彼女の表情を教えてはくれなかった。
『その…失礼なことかもしれませんが、社長…社長は、ご結婚されていましたか?』