冬うらら 1.5
●
ア然。
こんなにまでも、言葉の疎通がないと誤解になるものなのか。
あんなに彼のことを理解しようとしたのに、結局は見事な空回りであったことを、ここではっきりと分かってしまったのである。
「バッ…」
カイトは、眉を跳ね上げた。
しかし、それをぐっとこらえてくれる。
「カイト…」
もうめまいなんかしない身体を、ゆっくりとベッドから起こす。
胸を隠しているバスタオルを、押さえるようにしながら。
「バカ…野郎……ちゃんと、言え」
ベッドに膝で乗り上がるようにして、彼が近づいてくる。
そして、苦しそうな声でぎゅうっと抱きしめてくれた。
すごく、強い腕で。
パジャマの布に、ぎゅっと顔を押しつけられる。
その身体に腕を回す。
背中の布地をきゅっと掴んだ。
「カイトも……ちゃんと…言って」
こんなにまでも、分からないもの同士なのである。
たかがお風呂の好み一つ分からずに、見事に失敗してしまったのだ。
ちょっと言葉を交わせば、すぐに解決した出来事なのに。
「好きなものとか、いろいろ…ちゃんと、教えて…」
全部、知りたかった。
全部教えて欲しかった。
いまどう思っていて、どういう気持ちなのか。
少しずつだって構わないから、言葉で教えて欲しかったのだ。
なのに。
一度身体を離したカイトに、熱い目でじっと見つめられた後、また無言で強く抱きしめられた。
「メ…イ…」
言われた言葉は、それだけ。
後は、全部強い力だけだった。
ア然。
こんなにまでも、言葉の疎通がないと誤解になるものなのか。
あんなに彼のことを理解しようとしたのに、結局は見事な空回りであったことを、ここではっきりと分かってしまったのである。
「バッ…」
カイトは、眉を跳ね上げた。
しかし、それをぐっとこらえてくれる。
「カイト…」
もうめまいなんかしない身体を、ゆっくりとベッドから起こす。
胸を隠しているバスタオルを、押さえるようにしながら。
「バカ…野郎……ちゃんと、言え」
ベッドに膝で乗り上がるようにして、彼が近づいてくる。
そして、苦しそうな声でぎゅうっと抱きしめてくれた。
すごく、強い腕で。
パジャマの布に、ぎゅっと顔を押しつけられる。
その身体に腕を回す。
背中の布地をきゅっと掴んだ。
「カイトも……ちゃんと…言って」
こんなにまでも、分からないもの同士なのである。
たかがお風呂の好み一つ分からずに、見事に失敗してしまったのだ。
ちょっと言葉を交わせば、すぐに解決した出来事なのに。
「好きなものとか、いろいろ…ちゃんと、教えて…」
全部、知りたかった。
全部教えて欲しかった。
いまどう思っていて、どういう気持ちなのか。
少しずつだって構わないから、言葉で教えて欲しかったのだ。
なのに。
一度身体を離したカイトに、熱い目でじっと見つめられた後、また無言で強く抱きしめられた。
「メ…イ…」
言われた言葉は、それだけ。
後は、全部強い力だけだった。