愛かわらずな毎日が。

福元さんは私の両肩に手を置くと、ゆっくりと私の体を回転させた。


「…………あ、」


されるがまま、熱を発しつづける真っ赤な顔で福元さんと向き合ってしまった。


「……あ、あのっ、……見ないで、ください……っ」


「どうして?」


「だって、こんなの……、恥ずかしすぎる」


俯いた私の頬を、福元さんの大きな手のひらが包み込む。


一気に上昇した体温のせいか、視界がゆらゆらと揺れる。

涙がこぼれ落ちる寸前だった。


「付き合ってる人がいるかどうか、最初に訊くべきだった」

そう言った福元さんの手に優しく力が加わって、私の視線の先が徐々に上へと移動する。

真っ直ぐ私に向けられていた福元さんの視線とぶつかったとき、福元さんがゆっくりと口を開いた。


「付き合ってる人、いる?」


福元さんの手を頬に置いたまま、私は小さく首を横に振った。


「好きな、人は?」


ドクドクと勢いよく動いていた心臓が痛いくらいに跳ねた。

それにつられるようにして、体がカァッと熱くなる。


「…………それ、は」


のどまで出かかっていた想いを、福元さんに伝えるときがきたのだ、と。

そう思って。

そう覚悟して。


握りしめていた手にぎゅっと力を込めた。

福元さんから目を逸らさずに。


「…………私の、……好きな、人は、……
……私、………福元さんの……ことが、」


好きです、と。


震える声でそう言った、そのすぐあとに。


私の想いをのみ込むように、福元さんの唇が私の唇に触れた。

熱を帯びた私の言葉を味わうように。


ゆっくりと。

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