愛かわらずな毎日が。

・好きだからこそ。


「けっ……、結婚っ!?」

「で、でっ……、できちゃったぁっ!?」


食堂と化した会議室に私と森下の声が響く。


「うふふ。そーなの」

頬をほんのり赤く染めた香織が、にっこり笑ってそう言った。


「そーなの、って……」


突然の報告に、驚かずにはいられない。

当然だ。


だって。

だって、結婚て。妊娠て。


「ちょ、……ちょっと、待ってよ。
それって、いつ?いつのことっ?」

そう言った私は、ドキドキと激しく動く心臓を落ち着かせようと、制服のベストの上から胸元に手を置いて香織の返答を待った。


「お腹が目立つ前に、式は挙げたいと思ってたんだけどね、」

「ちがーうっ!」


「………え?」

ちょっと照れた表情で話していた香織の目が丸くなる。

眉をひそめた森下の手から、食べかけのおにぎりの一角が崩れ落ちた。


私が知りたいのは、挙式の日にちじゃなくて。

「プロポーズされた、ってのは、いつの話かって訊いてるの!」


「……………」


「間宮さんてば……。そんなに怒鳴らなくてもいいじゃないですか」

机に落ちたおにぎりの一角を指でつまんだ森下はそれを、大人気ないなぁ、と言いながらコンビニのビニール袋の中に放り込んだ。


だって。

6年間同じ会社で、しかも同じ部署で働いてきた私に。親友の私に。

香織は、きちんと報告もせずに今日まで過ごしてきた。

その上、

「香織さんてば、ちょっと太りました?」

なんて。

森下の言葉で、森下に話すついでみたいに言ったのだ。


そんなの、悲しいじゃない。

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