愛かわらずな毎日が。
「はぁぁぁ」
部屋の隅に置かれたロッカーの前でため息を吐いた。
高さは、ちょうど私の胸の下あたり。
その横長のロッカーに、事務用品やら社名入りの封筒などが保管されている。
ロッカーの前でしゃがみこんだ私は、扉を横にスライドさせて一番上の棚にある一冊のノートを手に取った。
随分と使い古したノートには備品名や持ち出した人の名前、持ち出した数量を書き込むようになっている。
「さてと……」
ロッカーの上にノートを広げるとその横にクリップボードを置き、気持ちを切り替えようと、もう一度大きく息を吐き出した。
クリアファイル、封筒、スティックのりにボールペン、その他もろもろの備品をチェックしていきながら、補充するべきものをメモしていく。
クリップの在庫が2箱、のりが3本でしょ。
封筒はうちの部の在庫も少なくなってたし、早めに発注しておこう。
……っていうか。
案の定、在庫数とノートに書き込まれた数量が合っていない。
左の頬を膨らませた私はベストの胸ポケットに挿してあった赤色のボールペンを取り出した。
「18じゃなくて、14ですけど」
ノートに書かれている数量を訂正し、クリップボードに挟んであるリストに正しい在庫数を書き込んだ。
そんな単純かつ地道な作業に集中していた私は、突然上から降ってきた、
「おつかれさま」
の声に驚き振り向くと、
「へっ!?あっ…、ふっ…福元さんっ!?」
決して間違えるはずない人の名前のあとに「?」マークをつけてしまったのだ。