愛かわらずな毎日が。

「びっ…、くり……した」

ドキドキと動きを速めた心臓が熱い。

胸元を摩りながら、驚かさないでください、と言う私の顔は、きっと真っ赤だ。


あははと笑った福元さんは私の横に立つと、

「大変そうだね」

と言って私の手元にあったノートを手に取り、ペラペラとページを捲る。


「そっ、そうなの。そうなんですよ、ほんと。
営業部はね、ま…っ、毎回ね、数が合わなくて。………大変で。ほんとに、」


会いたいと思っていたはずなのに、あまりにも突然すぎてどう接していいのかわからなかった。

私は福元さんの横で意味もなくクリップボードに挟んだリストをペラペラと捲っていた。


こうして隣に並ぶなんて、何日ぶりだろう。


痛いくらいに激しく動く心臓の奥がきゅうっと締めつけられて、じわじわと熱くなる。


顔も、目の奥も、のども。

ぜんぶが熱い。


「お昼はきちんと食べましたか?」


「香織が結婚するって。赤ちゃんができたんだって」


「電話するって言ったじゃないですか」


「今日も残業……ですか?」


訊きたいことも、話したいこともたくさんあったはずなのに、口にすることができなかった。


「会いたかった」


「会えてよかった、……です」


そんな想いを言葉にすることができなかった。

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