愛かわらずな毎日が。

「…………ぁ、」

黙り込んだ私の頭に置かれた手のひらの温もり。

久しぶりに得ることができたその温もりが、私の中で膨らみ続けていた感情を外へ外へと押し出そうとする。


「ん?」

うつむいた私の顔を覗きこむように首を傾げた福元さん。

「……ううん。なんでもない、……です」

小さな声でそう言った私。


私の右手が福元さんを求めてる。

少しでいいから福元さんに触れたいと、そう願っている。

でも。


そうしたい欲望を抑えつけるようにボールペンを持つ手に力を入れた。

だって。


ここで触れてしまったら、「さみしい」と口にしてしまう。

「足りない」と口にしてしまう。


私のわがままで、福元さんを困らせたくはなかった。

だから。


「なんでもないです」

そう言って笑ってみせた。


そんな私を黙って見下ろしていた福元さんが、

「さて、と。顔も見れたことだし、そろそろ出掛けようかな」

グッと伸びをしたあと、私の頭をぽんぽんと優しく叩いた。


胸が、きゅんと鳴く。


顔が、目の奥が、のどが。

体じゅうが熱くなる。


………ひどい。

私が必死に我慢してるというのに。

そんなふうにされたら、やっぱり触れたいって思っちゃうじゃない。

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