愛かわらずな毎日が。
「お待たせいたしました。
申し訳ございません。福元は外出いたしております」
そう言いながら近くのメモ用紙に手を伸ばした。
『あぁ、そうなの?彼から電話をもらったみたいでね。戻りは?いつ頃の予定?』
「確認いたします」
ホワイトボードで確認すると、福元さんの行き先は「南区、他」となっていて、帰社予定時刻は書き込まれていなかった。
「申し訳ございません。帰社時刻は未定となっておりまして』
『……そうか。相変わらず忙しそうだねぇ。
仕方ないな。それじゃあ、戻ったらでいいから携帯に電話してもらえるように伝えてくれるかな?何時になっても構わないから。
番号は、090……』
「………39、ですね。では、福元が戻り、」
『あぁ、そうだ!』
メモした携帯番号を復唱した私の言葉に重なるようにして、鈴木さんが大きな声を上げた。
「はい?」
『もうひとつ、伝えておいてくれるとありがたいんだけどね』
「あ、はい。どうぞ」
『この前言ってた、…………』
鈴木さんの言葉で、新しいメモ用紙に伸ばした手が止まる。
「……………え?」
………今、なんて?
『じゃあ、よろしく頼むよ』
そう言ってガハハと笑った鈴木さんは、なにも言えずにいた私にはお構いなしに電話を切った。
「…………どういう、こと?」
握りしめていたはずの受話器を落としそうになって、慌ててそれを置いた。
なんで?
どうして?
頭の中でその言葉がぐるぐるまわる。
心臓がバクバクと騒ぐ。