愛かわらずな毎日が。

福元部長へ

鈴木様よりお電話ありました。
戻られたら携帯まで連絡してください。

090-****-**39

10/16 15:08 間宮



福元さんの机の上にメモを残し、営業部の部屋をあとにした。


冷静になろう。

そうよ。ちょっと落ち着こう。

落ち着いたほうがいい。


「………大丈夫。……大丈夫」


深呼吸をしながら胸元をトントンと叩いて、必死に気持ちを落ち着かせようとするのだけれど。


鈴木のオジサンの言葉が邪魔をする。


『この前言ってた見合いの話、早く返事をくれないかって、伝えておいてくれるかな』


そんなの、無理に決まってる。

「承知しました」と言って素直に伝えられるわけがない。


なに、それ。

見合いって、なに?


なんで?

なんで福元さんがお見合いを?


………もしかしたら。

アレだったりする?


鈴木のオジサンは何処ぞのお偉いさんで。

「うちの娘と結婚して、ゆくゆくは我が社を継いでもらいたいんだ」とか。


………そういうの、実際にあるんだろうか。

そんな、ドラマみたいなこと。


……ていうか。

「早く返事をくれないか」って。

それって。


福元さんは、保留にしてるってことじゃないの?


「お付き合いしてる女性がいるので、」とか。

そう言って断ってないってことでしょう?


そういうこと、……だよね。


それって。

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