愛かわらずな毎日が。
「今、思ったんだけどさ」
「……う……、ん?」
福元さんの左腕に頭をのせたまま体を右に向けると、シーツの擦れる音とともに鼻先で福元さんの匂いが舞った。
火照った体の下にあるシーツのひんやりとした心地よい感触と、福元さんの匂いにすっぽりと包まれている安心感で重みを増していった瞼に力を入れ、福元さんの言葉を待つ。
天井を見つめていた福元さんは視線をこちらに向けると、
「恋愛ってさ、……呼吸と、どこか似てると思わない?」
そう言って私の額を隠している少し長めの前髪を指ですくった。
「恋愛……と、……呼吸?」
「うん」
「呼吸、……って?」
「あぁ…。恋愛って言うより、愛情?……ん?
えぇっと……。なんて言えばいいんだろう」
福元さん自身もどんな表現がしっくりくるのかピンとこないようで、困ったな、と付け足して苦笑いした。
「なんていうか。ほら、呼吸って。息するのってさ、四六時中、無意識のうちに繰り返してるだろう?仕事してるときも。寝てるときも」
「う、ん」
視線を少しだけ上にずらすと、福元さんは私の左の頬に手を置き、
「一緒なんだ」
そう言って、フッと目を細めて私を見た。
「え、…っと。よく、わからないんだけど、」
福元さんの体温があまりにも心地良いせいで、ぼんやりとしてしまった頭では理解不能な例え話。
あはは、と笑った福元さんは、私の頬に置いていた右手を自分の頭の下にもぐり込ませると、視線をまた天井へと戻し、ゆっくりと口を開いた。
「いつだって想ってる、ってことだよ」