愛かわらずな毎日が。

「あらら。なぁに、その顔。後悔でもしてるの?」

そう言いながら枝豆に手を伸ばすと、香織ちゃんは頬杖をついていた方の手で髪の毛をクシャリと握った。


「あー…。後悔っていうか、……うーん」


「……………」


「後悔、…っていうのかな」


「ぅぷーっ。あはっ…、あははははっ」


普段あまり目にすることのない香織ちゃんの表情に、思わず声を上げて笑ってしまった。

向かい合って座る香織ちゃんは視線をトマトから私に移し、眉間にシワを寄せる。


「えーっ。なんで笑うの」

「あははっ。だって、」

「だって………?」

「香織ちゃんの、しゅんとした顔なんて滅多に見れないから。なんかね、」

私がそう言ったら、香織ちゃんはちょっぴり唇を尖らせたあと、

「してるよ。後悔してる。
言い過ぎたことも、置いて帰ってきたことも」

そう言って私の目の前のお皿からつくねを奪っていった。


「大丈夫だよ、大丈夫!」


落ち込む香織ちゃんを、大丈夫、なんて短い言葉だけで励ますしかできないけれど、実際それしか浮かばなかったのだからしょうがない。

それに。

香織ちゃんは、多くの言葉を必要としない。


「まぁ、勢いで言っちゃったけど。ほんとのことだし。いつか言おうと思ってたことだし。
過ぎたことをいつまでも悩んでちゃ、駄目よね」

って。

すぐに丸まっていた背中を伸ばし、いつものように凛とした女性に戻るんだ。

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