愛かわらずな毎日が。

メニューを開いた私は、ズラリと並んだドリンクの中からいくつか候補を挙げる。


ビールじゃなくて。

放課後。オレンジジュース片手に恋バナで盛り上がったあの頃のように。


「甘酸っぱいのが飲みたい」


そんな気分なんだ。


「塚田ちゃんがビール以外のものを飲みたいだなんて。めずらしいね」

残り少なくなった枝豆に手を伸ばした香織ちゃんがパチリと瞬きをした。


「愛ちゃんのせいだよ」

「なんで、愛のせい?」


「だって。甘酸っぱいんだもん」


「えーっ。またそれ?」

「うふふふふ」



愛ちゃんがこれまでどんな恋愛をしてきたのか、詳しくは知らないし。

前の彼氏と比べるのは、いかがなものかと思う。

それでも。

愛ちゃんにとって、福元さんとの恋が。


『いちばん幸せ』


そう思える恋だといい。

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