愛かわらずな毎日が。

会社から少し離れたカフェ。

みつひろと向き合って座る私は少しばかり緊張していた。


あの頃と同じように接すればいいのだとわかってはいるものの、上手くいかない。

吐き出す言葉を選び過ぎて、さっきから同じ言葉ばかりを口にしていた。


「びっくり、した」


カップに口をつけたまま私を見たみつひろは、何度も聞かされる言葉に、

「ん、」

と短く返事をすると、目を細めた。


「だって。会いに来るなんて思ってなかったから。ほんと、びっくりしたの」

そう言った私は、ふぅっとため息にも近い息をコーヒーに吹きかけた。


「あはは。驚いてくれて嬉しいよ」

悪びれた様子もなく笑顔でそう言ったみつひろ。


「あはは、じゃない。嬉しいよ、とか言わない。信じられない」


「あはははは」


「もー…」


随分と会っていなかったから、相変わらず、と言っていいものかわからないけど。

軟派なところとか、強引なところとか、抜けてるところとか。

少し痩せたのか、あの頃より顎のラインがスッキリしていて、前よりも男らしく見えるのだけれど。

そういう性格は、きっと今でも変わっていないんだろうな、と思った。

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