愛かわらずな毎日が。

「気に、なってた……?」


「………うん」

首の後ろをポリポリと掻くみつひろの視線が、手元のカップと私の顔を行ったり来たりする。


なにが気になっていたのか見当もつかない。


「ハッキリ言いなさいよ。勿体ぶるなんて、なんか嫌」

私はそう言うと、ソワソワする心臓を落ち着かせるようにゆっくりと息を吐き出した。


「ははっ。その言い方、相変わらずだな」

眉尻を下げたみつひろが視線をカップに落として言った。


「なんていうか……。どうしてるかな、って。
ずっと、心配してたんだ」


「………え?」


「愛のこと、………心配、してた」


「……………」


「なんていうか。おまえのこと裏切ってさ。
傷つけておいて、今さらなんなんだよ、と思われるかもしれないけど」


「……………」


「ちゃんと、前向いてるのかな、って。
ずっと気になってたんだ」


「…………ぁ、」


どう表現していいのかわからないけれど。

たぶん。


びっくりしたのと同じくらい、嬉しいという感情があるのだと思う。


あんな別れ方をしたけれど。

なんていうか。


みつひろも苦しかったんだな、って。

たくさん悩んでくれたんだな、って。


それを知って胸がきゅっと締めつけられた。


「………ありがと。気にかけてくれて。
心配してくれて、ありがと」

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