愛かわらずな毎日が。

「………わっ、」


心臓がドクンと跳ねた。

表示された名前に、私の心臓は素直に反応してしまう。


「もっ…、もしもしっ。福元さんっ!?」


『どうしたの?そんなに慌てて』


「だって、」


つい先ほど跳ねた心臓が、今度は、きゅうっと締めつけられる。


「私も今、かけようかな、って。だから、」


『だから、出るのが早かったんだ』


耳元で響く福元さんの笑い声に、体温が一気に上昇する。

愛おしいという想いが体じゅうを駆けめぐる。



「あ、あの。ちょ…、ちょっとだけ待って、」


『うん?』


その場に立ち止まった私は胸に手をあてて深呼吸をし、気持ちを落ち着かせた。


電話なんて何度もしてきたはずなのに。

胸の奥が焼けるように熱い。


『今、話してても平気?』


「あ、はいっ。大丈夫です。……っていうか。
福元さんこそ電話してて大丈夫?」


『あはは。大丈夫だから掛けたのに』


「あ。そっか。そうですよね。
……って。それより、挨拶回りは順調?」


『うん。順調。明日の午後にはそっちに戻れると思う』


「ほんとに?」


『うん。ほんと』


「じゃあ、」

『あ、ごめん。……はい。今、行きます』


「………え?」


『これから取引先の人と出掛けるところで』

「あ。そうだったんだ」


『何時になるかわからないけど、ホテルに戻ったらメールする』


「うん。お願いします。気をつけて、」


『うん。ありがとう。それじゃあ』


「それじゃあ」

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