愛かわらずな毎日が。
窓から射し込む春の陽射しが青山さんを優しく包む。
スラリとした体格と、整った顔立ちをしているからだろう。
コーヒーをかき混ぜる姿も絵になる。
もし森下が至近距離でこの姿を目にしたら。
そんなことを想像して口元を緩ませてしまったのだけれど。
………いけない。
あの子、機嫌が悪かったんだ。
戻りが遅かった理由が、「青山さんにコーヒーを淹れてあげてたから」なんて知ったら、何を言われるかわからない。
「それじゃあ、私はこれで」
インスタントコーヒーの瓶をしまった私がペコリと頭を下げると、青山さんは動かしていた手を止めて、
「あ……。ありがとうございました」
と、頭を下げた。
少しだけ眉尻を下げて。
何か言いたげなその表情を見て、私は、
「また何かあれば、声掛けてください。しばらく居ますから」
そう言って青山さんの表情を窺うように首を傾げた。
青山さんはカップから手を離すと、体を私の方へと向ける。
「あ、……あのっ、」
「はい」
「……間宮さんて、か……、」
「か?」
「……あ、いえ。……その、なんていうか」
青山さんはコホンと咳払いをひとつして、ふわふわと視線を漂わせる。
「……はい?」
私はぱちぱちと瞬きを繰り返し、青山さんの言葉を待っていた。