愛かわらずな毎日が。
会社からほど近い場所にある公園で、ライトアップされた桜の木々を、福元さんと肩を並べて見上げる。
「きれー……」
「ほんとだ」
「やばい、です。感動してる。すごく」
「あはは」
去年の今頃は、近くのコンビニで缶ビールを買い込んで、同期メンバーとバカみたいに騒いでいたっけ。
だけど今年は。福元さんと一緒。
自然と口元が緩んでしまう。
「ふふっ」
「なに笑ってるの?」
「えっ?……ううん。なんでもない、です」
「ふぅん」
「ふふっ」
こうしていることが、なんだか不思議で。
だって。
あの頃は、想像すらしていなかったから。
福元さんを好きになることも。
福元さんの隣にいる自分も。
桜を眺める福元さんをそっと見上げた。
胸が、きゅうっと締めつけられる。
奥のほうからじりじりと熱いものが込み上げてくる。
「どうかした?」
ひらひらと舞う桜の花びらを目で追っていた福元さんが、私の視線に気づいて首を傾げた。
「泣きたくなるほど、好き」
そう言ったら、福元さんはどんな顔をするのだろう。
「福元さん」
「ん?」
「今年の桜は、去年と違う気がします」
福元さんの左腕に触れて、呟くようにそう言った。
「え?なに、それ」
福元さんが私を見下ろして、ふわりと笑った。
だから私も笑顔で返す。
「いつもと違って見えるんです」