愛かわらずな毎日が。
「べつに、俺は構わないけど」
「………え?」
真っ直ぐな目で見つめられた私の心臓が、ドクンと跳ねる。
福元さんはゆっくり瞬きをしたあと、細身のパンツのポケットに手を入れ、小さく息を吐き出した。
「同じ職場のせいで、愛に気を遣わせてるけど。正直俺は、無理に隠す必要はないんじゃないか、と思ってて。でも。
愛が、知られたくないって言うなら、今まで通り合わせるし。誰かに何か訊かれても適当に誤魔化しておくよ」
そう言った福元さんの表情が、どこか哀しげなものに映って。
胸がチクンと痛んだ。
「………なんていうか。……私、」
福元さんに迷惑をかけたくないとか、公私混同しないだとか。
付き合いはじめた頃は、もっともらしい理由を考えたりしたけど。
ほんとは。
「自信がなくて。……弱い、っていうか。
………ずるいんです」
ずっと、逃げてきた。
「福元部長って、見る目ないよね」とか。
「おまえにはもったいない」とか。
「福元部長と間宮とじゃ、釣り合い取れない」だとか。
そんな言葉たちから。
傷つくことから逃げてきただけなのだ。
だから。
「気を遣わせてる、なんて……言わないで、」