愛かわらずな毎日が。

「ねぇ、福元さん」


「うん」


「私と付き合ってるって知られたら、仕事がしづらくなるとか、……そういうのって、」


「ないよ」


「それじゃあ、その……。私のこと、……私に対しての気持ち、っていうか。……それを、」


「愛を好きだって気持ちも、隠したりしない」


自分でも、バカなことを訊いてしまったと思ったのだけれど。


新たな悩み、というか。

問題というか。心配事というか。


それに打ち勝つためには、福元さんの気持ちを確かめておかなくちゃ、と思った。


だって、彼女は。

企画部のあの子は。


きっと、福元さんのことが好きだから。



「そろそろ戻らないと。ミーティング始まるし」


「……うん」


「愛、」


「あっ…、あと少し。あと、……10秒だけ」


「あはは。じゃあ、10秒だけ」


「……うん」



あぁ。ほら、また。

胸の奥が、ぎゅっとなった。



「ねぇ、福元さん」


「最近そればっかりだね」


「いっ…、いいの。気にしないでください。
コホッ……。ねぇ、福元さん」


「はいはい」


「福元さんを好きだって気持ち。
もう、隠したりしない」

< 240 / 320 >

この作品をシェア

pagetop